Appleの社員ってどんな感じ?一般人が実際に1年間働いてみた話

Apple

Appleの社員って聞くと、東大卒とかのエリートしか入社できないんだろうなぁ…ってイメージがあると思います。

実はそんなこともなく、僕も1年間Appleの社員として働いていましたが僕は専門卒です。なんなら高卒の方だっていました。

今回は実際にAppleで働くとどのような毎日なのか、実際に働いた僕が皆様にお伝えしていきます。

(働いていたのは5年ほど前なので今は違うかもしれません)

Appleに入社するには

Appleに入社するのに特別な条件とかはないです。

僕はAppleみたいな凄い会社って普通に求人出してるのかな?って調べたら普通に求人出してたんでダメ元で「Apple Solutions Consultant」という営業のチームに応募することにしました。

応募したあと2回Zoomで面接して、本社の六本木ヒルズで最終面接して入社しました。

よくYouTubeとかで「Appleの入社試験がヤバすぎる!」みたいなやつで、よくわからない質問されるのありますけど、僕の時はそんなのなかったです。

学生時代頑張ったこととか、チームで何かを達成した経験とか、挫折を乗り越えた経験みたいな普通の就活で聞かれるような内容を聞かれましたね。

ただ、一般企業とかと違ってAppleらしい?のかもしれませんが、めちゃくちゃフランクに会話していてまるで友達と話すような形で面接が進んでいきます。

面接の中では看護学校の病院実習で辛かったこととか楽しかったことを話してました。

フランクな雰囲気で面接が進んでいくので楽しく話せた反面「こんなに楽しく会話しているのに落とされる人がいるんだよな…」って少し怖かったです。

面接が終わった後数日経ったらメールで合格通知と、研修の案内が届きました。

英語もろくに話せない専門卒の僕が合格するとは思わなくて正直めちゃくちゃビックリしました。

僕がAppleの社員として採用された雇用形態は契約社員です。この契約社員にも2種類あって「1年間の契約の中で正社員になれなかったら契約終了」と「1年ごとに契約社員として再雇用してくれる」の2種類です。僕は1年で正社員になれなかったらクビ?無理ゲーじゃん。ストレスヤバそうって思って後者で応募しました。

Appleの研修

研修は本社の六本木ヒルズで行われるのですが、六本木ヒルズどころか六本木にすら来たことない僕は緊張でガタガタでした。

六本木ヒルズに入ってエレベーターで本社のフロアまで行くのですが、耳が詰まるぐらい本社のフロアが高いんですよね。

いざフロアに付くと外国人ばかりで、ジーンズのケツポッケにiPad入れて歩いているのを見て、僕の場違い感が半端じゃなくて恥ずかしかったです。

研修の部屋に案内されて同期たちと顔を合わせるのですが、現役大学生から40.50代まで幅広い年齢の人達がいました。Appleは年齢問わず採用をしてるイメージ通りのグローバルな会社なんだと再認識しました。

研修は1週間行われます。1週間で僕らに馴染み深いiPhoneから、あまり馴染みがないHomePodまでApple製品全ての製品知識を叩き込まれます。

この研修で「Appleはお客様にWowを提供する」ことをとても大事にしていると教えられました。お客様に製品を手に取って頂いて、驚きを提供することでお客様はAppleのファンになってもらうんだとのことでした。

僕らは売ることが第一目標ではなく「Appleのファンを作ることがミッション」だと口酸っぱく言われました。

「僕らはファンを作るためにお客様に提案を続けていくんだ!!」とか周りの同期が言ってましたね。その頃僕は会社から支給されたiPhoneとApple Watchでポチポチ遊んでいました。正直そんなに意欲はなかったです。

Appleの社員は必ず社用のiPhoneを持っており、その中にはAppleの社員だけが使うアプリが多く入っています。例えばAppleの製品知識をクイズ形式で学んでいくものや、勤怠管理のアプリなど様々です。

Appleの社員だけがアクセスできるサイトではApple製品が社割価格で買えたりするので、買いまくりました。

Apple社員としての初出勤

それぞれ配属が決まり、僕は都内の大手家電販売店に配属されることになりました。

店舗に入る前警備員に自分が持っている電子機器のシリアルナンバーを記入した紙を渡し、ボディチェックを受けなければなりません。過去に店の商品を盗んだ人がいるらしく、それからは入退店時には必ずチェックを受ける必要があるとのことでした。

ロッカーでAppleの制服に着替えて、Appleのコーナーへと向かい僕のApple社員としてのキャリアがスタートしました。

Appleのコーナーではすでに先輩たちがいて、僕を笑顔で迎えてくれました。Appleでは苗字ではなく名前で呼び合う習慣なので、なんか働いているのに友達っぽい変な感覚でした。

お客様はどのApple製品がいいか悩んでいる人もいれば、僕よりも知識があってとんでもなくマニアックな質問をしてくる方まで様々でした。マニアックな質問は「シニア」と呼ばれる主任みたいな方たちが対応してくれて、どんな時も助けてくれるので働きやすくて最高でした。僕は一生Appleで働いていく気満々で楽しい毎日でした。

コロナによるリモートワーク

毎日楽しかったのですが、僕の楽しいApple社員としての毎日は終わりを告げます。

新型コロナウィルス流行によるリモートワークです。

本社の社員やマネージャーは分かりませんが、僕達営業はリモートワークで毎日製品知識を学んだり、グループディスカッションで模擬販売をしたりと死ぬほど退屈な毎日が続きました。製品知識を学ぶのはもちろん大事なんですけど、僕達はお客様と直接会話してなんぼの職種なんです。自宅のPCの前で毎日同じ作業ばかり繰り返して飽きてきてしまって、ずーっとボートレースしながら作業してました。

この頃の僕は会議に寝坊していたり、会議中に寝ているのがバレたりと最悪な日々を送っていました。会議中寝てたのはバレてめちゃくちゃ怒られました。

そんな日々の中遂にリモートワークが終わり現場に戻れることになりました。ですが、N95マスクとフェイスシールドを着用して接客しなくてはいけないとのことでした。

皆さんはN95マスク付けたことありますか?あれ苦しくて仕方ないんですよ。接客中何回息切れを起こしたかわかんないぐらいです。夏の時期でもあったので暑くて汗は止まらないわ、息は苦しいわで最悪でした。

垣間見えてくるAppleの闇

様々な商品知識を付けて接客にも自信がつき始めたんですが、この時ある異変に気付いたんです。

「なんか辞めてく人多くね?」

僕のチームは30人ぐらいのチームだったんですが、僕が着任してから既に4人ぐらい辞めてるんですよ。それも皆正社員じゃなくて全員契約社員です。普通に働いていたら契約更新されるはずなのになんでみんな辞めていくのか分かりません。

辞めていく人に話を聞いてもはぐらかされるだけで、真相は何も教えてもらえなかったです。

ある日PCでゲームがしたいけど、iMacかゲーミングPCか迷っている家族の方がいました。シニアの人が接客をしていたんですが、僕の方がゲームについて知識があるからと接客を交代することになりました。

そのお客様に話を聞くと「Apexをプレイしたいんだけど、さっきの人にApple Arcadeとかいうのを勧められた。Apple Arcadeは面白いゲームがいっぱいあるからiMacにした方がいいって言われたんだけど…」と話されました。

いやいやApexをプレイするならゲーミングPC一択じゃないですか?なんでApexをプレイしたいっていうお客様にiMacを進めているのか意味が分かりません。僕はお客様にPCのスペックなどの説明をした後、お客様を連れてWindowsのコーナーに行ってゲーミングPCを販売しました。お客様はみんな笑顔で帰られたのですが、Appleのコーナーに戻るとシニアから呼び出されて、こう言われました。

「何故他社製品を売るのか?あのお客様はApple製品で新しい発見ができたはずだ。その機会を奪っちゃダメじゃないか」

は???意味が分かりません。お客様のニーズを無視してApple製品を売れと?仮に僕があのお客様にゲーミングPCではなくiMacを売ったらどうなりますか?

「折角PC買ったのにApexがまともにできない!なんでこんなものをAppleの人たちは勧めてきたんだ!!」

ってなるでしょ。そんな嘘をついてまで僕は人に物を売れませんよ。僕は納得がいかなくてシニアに説明しましたが、シニアは不満そうな顔で会話を終えて現場に戻っていきました。

次の日からシニア達からの当たりが強くなり、今まで会話していた人達も何となくよそよそしかったです。

それでも僕は折れることなく、お客様から話を聞いて必要であればApple製品だろうがWindowsだろうがXiaomiだろうが販売しました。

ある日僕が社内発表をしたのですが、ほかのメンバーからあまりいい反応はありませんでした。マネージャーからは「あなたの勤務態度が悪いからあなたの話はみんなに響かない」とまで言われました。

意味が分からない。確かにリモートワークの時は良くなかったけど、現場に戻ってからは遅刻の一つさえしたこともない。他社製品を勧めた件についても何度も注意を受けましたが、それはお客様に真摯に向き合ってるからこその対応だったのに受け入れてもらえませんでした。

その時僕は理解しました。

「この会社は何としてでもApple製品を売りたくて、Appleを狂ったように愛している社員以外は必要ない」

僕はApple製品が大好きでしたが、本当にApple製品が必要な人にだけ販売したかったんです。ゲームがしたい人にiMacを勧めても意味がないし、山登りがしたい人にApple Watchを勧めても意味がないと思っていました。

ですがこの会社はそれを認めてくれません。ひたすらにApple製品を売ることだけしか許されないのです。

この頃から僕の中でのAppleの情熱は消えかけていました。正直Appleが嫌いでした。

契約解除

契約更新日が近づいたある日エリアマネージャーから呼び出されました。

「社内で話し合った結果今回契約は更新しないことになりました」

僕は分かり切っていたはずなのですが、やっぱり僕の思いが周りの人たちに届かなかったんだと思ったら涙が止まらなかったです。

エリアマネージャーから薄い励ましをもらって、会話は終了となりました。面接の時はあんなにフレンドリーでいい人だと思ったのに、今は冷酷で残酷な人間にしか見えなかったです

他社製品を勧めることがそんなに問題なら何故僕の思いを聞いてくれなかったのか?僕の思いをヒアリングすることなく勝手に上層部で僕がどんな人間か決めつけているだけじゃないか。

僕は色んな思いがありながらも契約終了には変わりがないので会社の備品を郵送で送って、僕のApple社員としてのキャリアは終了になりました。

まとめ

いかがだったでしょうか?Apple社員として働くことは夢の様かもしれませんが、実際は厳しいことだらけです。今回の記事に書かなかった辛いこともたくさんありました。

給料は良かったのかもしれませんが、夢に見るような憧れの生活はありませんでした。

Appleの社員にチャレンジしてみたい方は今回の内容を踏まえた上で応募してください。

僕がダメダメだったのも一つありますが、決して他人事ではないと思うので少しでも役に立てたら幸いです。

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